プレミアムフライデー

え～、しばらくの間おつきあい願います。
ペットというのはなんですねぇ、いなくなって初めてその存在の重大さを知るものでして、ウチでは「福」がおらんようになって一月半が過ぎようとしております。今でも散歩してるコーギーを見かけると「ウン、『福』の方がベッピンさんや」なんて思ってしまうんですなぁ。
亡くなったのが土曜日で、その前日が世間様でいう「プレミアムフライデー」とはチョコット違う金曜日となっている今日この頃でございます。

「なんとなし、福に似てるなぁ～」

「なんや、ウチに似てるて～？」
「そやがな、このおばあちゃん座りしてるとこなんかソックリやんけ…、って福、オマエそこにおったんけ？」

「あたり前田のクラッカー！　いっつもそばにおるでって言うたやん」

「古ッ、てなもんや三度笠か！」

「藤田まことさんにアッチで会ったで。あ、最近、小林麻央さんが来はったな。頑張ってはったのになぁ～」
「そやな、同世代とか若い人が亡くなると悲しいっていうより悔しいな。ところで桃太郎さんには会ったか？」

「いんや、犬さんと猿さんと雉さんには会ったけどな」

「せやな、桃太郎さんは現世に下りてきて、どこぞのCMに出てはるわ」

「それはそうと、何がウチに似てんのん？」

「オマエ、そばにおるッちゅうてからに、わかれへんのん？」

「どれや？　なにがや？」

「ここ！　ほれッ！！」
「ウチは花咲爺さんのポチやないからネ…」

「なに言うてんねん。ポチの方が賢いわ！」

「アホ犬で悪かったネ」

「よう見てみ、オレの指の先や」

「はぁ～、ちょっと毛が生えてる。頭ハゲてんのに」

「ほっとけ！　その先や」

「爪が生えとるな」

「もっと先！」

「爪に垢がたまってる。おとうちゃん、風呂入ったか？」

「もっと先や！」

「洗濯モンが干したある」

「どこまで行くねん。おかあちゃんがオマエがおらんようになってから寂しがってこんなん買いよったんや」

「…」

「似てるやろ？」

「…」

「な?」

「おとうちゃん！」

「なんや？」

「ウチの方がカワイイ。。。！」

「なんや、そこかい！」

「おかあちゃん、ちょっとはごきげんになったんかな？」

「うん、今日はいつもより大きい声でお話しとったで」

「おいしいビールも飲ましてもろたん？」

「オレはいつでもビールウマいで」

「ちゃうやん、今日はプレミアムフライデ―とか言うらしいやん」

「プレミアム～？　オレはいっつも第三やぁ」