初七日
初七日
5月20日、福があの世に旅立ちました。
SNSにコメントを上げましたが、その節は多くの方々からお悔やみをいただき、ありがとうございました。
福が我が家にやってきたのは2003年の10月のこと。プックリとしたお腹がかわいらしい生後2か月の子犬でした。
性格はオテンバな方で、散歩中に出会うイヌが嫌な顔をするくらい吠えかかっていったり、ネコに戦いを挑んで返り討ちに遭い鼻っ柱を引っかかれたり、宅配便のオジサンに食ってかかっていって「やっぱりクロネコやからか?」とナイスなツッコミをいれられたり…。
初めは玄関横のケージで過ごしていたのですが、階段の上り方を覚えたらトットコトットコ上がってくるようになりました。危なっかしいので階段の下に柵をしたのですが、前脚でガリガリとそれをよけて上がってくるようになったんで、それ以後、寝る時以外は家族とともに居間で過ごすようになりました。
夕食時はオイラの横にチョコンと座っておねだり。
「さっき、ごはん食べたやろ。」
「いやいや、おとうちゃんのごはんは別腹やネン。」
食いっぷりだけは見事でした。
ウチでは翌年のカレンダー用に年末に子供たちの写真を撮るのですが、これがまた大変な話で、とにかくじっとしているのが嫌な福です。オヤツで釣ったり押さえ込んだりして撮った写真の中に、子供たちと同じように成長する福が一緒に写っています。
今年のカレンダーは娘っちが結婚して新しい家族が増えたんで、3人と1匹。福はJr.に羽交い絞めされています。
今年のカレンダーは娘っちが結婚して新しい家族が増えたんで、3人と1匹。福はJr.に羽交い絞めされています。
そんなこんなで過ごしてきましたが、2013年5月、福にとって最大のピンチがやってきました。腫瘍ができた脾臓を摘出。肝臓にも少し転移していたので一部切除しました。
約2週間の入院生活を終えて帰ってきた当時はさすがに少し弱っていましたが、持ち前の食いっぷりでみるみる回復。しばらくは玄関横のケージで過ごさせたのですが、
「ワンワン!(2階に行きたいねんけど!)」
「ワンワン!(早よ上げて!)」
仕方なく2階に上げてやるのですが、その内、以前と同じように階段を駆け上がってくるようになりました。
それから4年。相変わらずアホ犬度全開で楽しく過ごしてきました。
それが福にとっての「余生」というものだったのでしょうか。
1か月前、いつもの食いっぷりが少し陰りを見せてきました。高齢でもあるので、医師が勧めたdog dockを受けたところ、お腹に大きな腫瘍が見つかりました。
様々な要因とリスクの多さから腫瘍をとることは諦めました。
様々な要因とリスクの多さから腫瘍をとることは諦めました。
「本当にそれでよかったのか」という葛藤の中で、「その日」を迎える覚悟をしました。
それ以後は目に見えて弱っていくのがわかりました。
ドッグフードを食べなくなったので茹で卵やササミを与えていましたがそれも食べなくなり、自力で立てないので支えてやって水を飲ませて…。
頬骨や肋骨がわかるくらいにやせ細ってきました。
頬骨や肋骨がわかるくらいにやせ細ってきました。
最期の1週間は注射器で水を与えて…、それも口を湿らせる程度でした。
そして、「その日」…。
何かを察したヨメさんが前日に娘っちに連絡したところ「夕方、会いに行く」と。
「その日」の福は、呼びかけに答えるものの反応は弱々しい感じでした。
夕刻、娘っちが帰ってきて涙を流しながら体をなでてやっていました。福は少し荒くなった息の中でそれを感じとり、穏やかな表情をしていました。
そして、「その時」…。
娘っちを家まで送って行った、ほんの小一時間のうちに福は旅立ちました。
最期は少し苦しんだようです。ヨメさんが「福~!!」と呼びながら体を一生懸命さすりましたが、戻ってくることはありませんでした。
まるで娘っちが来ることを知っていて、それを待っていたようです。
もう少し家においてやりたかったけど、翌日は娘っちの結婚内祝い、翌々日からはオイラが出張ということで、その日のうちに市役所に引き取っていただくことにしました。
段ボールですが小さな棺を作ってやって、花を添えてやりました。
ヨメさんに何度も「ホンマにこれでエエんか?」と問いながら、市役所の宿直室の前で
「福、バイバイ~。」
と、小さく手を振ってお別れしました。
「おとうちゃ~ん。」
「ん? なんや福、帰ってきたんか?」
「せやねん。あの時、おとうちゃんに早いこと市役所に連れて行かれてしもたから、みんなにちゃんとご挨拶でけへんかったし。」
「そうか、オマエがあの世でヤンチャばっかりするから追い出されたんかと思ったで。ほんなら、ちゃんとご挨拶しとき。」
「うん。一番はおかあちゃんやな。ごはんとかウンチの世話をずっとしてくれてたね。おおきに。時々、怒られたけど、おかあちゃんが一番ウチのこと好きでいてくれたんやと思う。ホンマにおおきにやで。」
「ウンウン。」
「それから、おねえちゃんや。ウチを連れてきてくれた。おかげでウチは楽しい毎日が過ごせたんやからね。」
「ウンウン。」
「おにいちゃん、武骨に見えても優しかったな。ウチが癒されるときの方が多かったよ。」
「ウンウン。」
「じいちゃん、ばあちゃん。散歩に連れて行ってくれたり、オヤツくれたりしてうれしかったよ。」
「ウンウン。で?」
「以上!!」
「いっ、『以上!!』って、オレは?」
「おとうちゃんかぁ~?」
「『かぁ~?』って、オマエ。ずぅ~っと病院に連れて行ってたやんけ!」
「それは義務っちゅうやつやね。おとうちゃんは、いつもウチを蹴っ飛ばしてた。」
「愛情の裏返しっちゅうやつやろ!」
「それより、早よコッチおいで。♪酒はウマイしネェチャンはキレイだ ファ ファ ファファ~ン♪やで~。」
「コラコラ。それはそうと1コ聴きたいんやけど、オマエ、ウチ来て幸せやったん?」
「それはナイショや。『幸せやった』っちゅうたらアンタ図に乗るし、『不幸やった』っちゅうたらアンタ落ち込むやろ?」
「オマエにしては、気ィ遣こてくれてるんや、おおきに。オレはオマエが来てくれて幸せやったよ。」
「またまた、ウマいコト言うてからに~。」
「そない言うとかんと、アカンとこちゃう?」
「そないしてスカすとこがおとうちゃんらしいわ。ほな、神さんが呼んではるから、ボチボチ帰るわァ~。」
まだ福の匂いが残っていたり、時折舞い込む初夏の風に、どこからか福の毛が舞っていたりします。
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No title
> hin*noy*m*さん
「その日」は、たまたま仕事の合間で土休でした。ヨメさんも休みでした。
福は、そのタイミングを見計らってたのかも知れません。
家族を呼び寄せてから逝くなんて、愛されていたのは福ではなくて、我々でした。
「その日」は、たまたま仕事の合間で土休でした。ヨメさんも休みでした。
福は、そのタイミングを見計らってたのかも知れません。
家族を呼び寄せてから逝くなんて、愛されていたのは福ではなくて、我々でした。
- #2098 スミだんな
- URL
- 2017.05/27 22:35
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No title
> kanaokahondaさん
昨日、ケージを片付けました。
ひっかいて破ったクロスは、福がそこで生きていた証です。
昨日、ケージを片付けました。
ひっかいて破ったクロスは、福がそこで生きていた証です。
- #2100 スミだんな
- URL
- 2017.05/29 20:54
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